防犯カメラには、国内外のさまざまなメーカーや製品があります。
手軽に導入できるIPカメラから、大規模施設向けの監視システム、クラウドから複数拠点を管理できる製品まで、現在では非常に多くの選択肢があります。
その中で近年、急速に存在感を高めているのが、米国発のVerkadaです。
2016年の創業から約10年。Verkadaが2025年12月に発表した数字では、導入組織は30,000以上、世界171か国で200万台以上のデバイスが展開され、年間換算Bookingsは10億米ドルを超えています。
なぜ、いま世界でVerkadaが注目されているのでしょうか。
その背景を読み解くキーワードが、次の3つです。
皆さんこんにちは!OpenKanalのTogoです。
今回は細かな製品スペックや機能の比較ではなく、Verkadaが一般的なIPカメラと何が違うのか。そしてクラウドとAIによってPhysical Securityをどのように変えようとしているのかを見ていきます。
Verkadaとは?
Verkadaは2016年に米国で創業したPhysical Security企業です。
Verkadaという名前を防犯カメラから知った方も多いかもしれません。
しかし、現在のVerkadaを単なる「防犯カメラメーカー」として捉えると、その全体像は見えにくくなります。
Verkadaが現在展開しているのはVideo Securityだけではありません。
Access Control、Alarms、Intercom、Air Quality、Guestなど、建物や店舗に関わるさまざまな製品を展開し、それらをクラウドベースの管理プラットフォーム「Verkada Command」から管理できる環境を構築しています。
Physical Securityそのものを一つのクラウドプラットフォームへ。
こちらの方が、現在のVerkadaを理解しやすいでしょう。
クラウド管理だけなら、もう珍しくない
Verkadaの特徴として、「クラウドから管理できる」「複数拠点を一元管理できる」「管理画面がシンプル」「拠点が増えてもスケールしやすい」といった点がよく挙げられます。
もちろん、これらは重要な特徴です。
特に数十、数百の拠点を管理する企業にとって、各店舗のシステムへ個別にアクセスするのと、企業全体のPhysical Securityを一つの環境から管理するのとでは、運用方法が大きく異なります。
一方で2026年現在、「クラウドから管理できる」ことだけで製品を差別化するのは難しくなっています。
クラウド、一元管理、マルチサイト、スケーラビリティ。
これらを前提としたうえで、Verkadaが次に力を入れている領域があります。
「録画するカメラ」から「映像を理解するAI」へ
従来の防犯カメラを考えてみましょう。
店舗で何か問題が発生した。発生した時間を確認する。該当するカメラを選ぶ。そして録画映像を遡りながら、必要な場面を人間が探していく。
長い間、防犯カメラの大きな役割は、「何かが起きたときのために映像を記録しておくこと」でした。
AIは、この当たり前を変え始めています。
必要なときに人が探す
複数拠点をまとめて管理
必要な情報へアクセス
Verkadaには、自然言語を利用して録画映像を検索するAI-powered searchがあります。
Verkadaが紹介している例では、「FedEx truck on January 15」のような、人間が普段使う言葉で映像を検索し、関連するクリップを探すことができます。
重要なのは、検索機能そのものではありません。
防犯カメラと人間との関わり方が変わってきていることです。
これまでは、人間が映像を探す。
これからは、AIに「何を探しているのか」を伝える。
カメラが記録した大量の映像を、人間が最初から最後まで確認するのではなく、AIを使って必要な情報へアクセスする。
Physical Securityにおける大きな変化の一つです。
AIが変えるのは「映像検索」だけではない
AIの活用は、録画映像を探すところだけにとどまりません。
Verkadaは現在、AIを利用した検索、アラート、調査、そしてDeterrence(抑止)へと活用範囲を広げています。
2026年2月にはAI-Powered DeterrenceのPublic Betaを発表しました。
カメラ映像から長時間の滞留などの状況を検知し、映像のコンテキストを踏まえたAI生成の音声メッセージによって警告する仕組みです。Verkadaによれば、Large Vision、Audio、Language Modelsを活用しています。
従来の防犯カメラは、事件やトラブルが発生した後に確認することが中心でした。
AIの活用によって、Physical Securityは「記録する」だけではなく、より早く状況を把握し、対応につなげるシステムへと変わり始めています。
そしてVerkadaは「カメラの会社」ではない
ここで、もう一度Verkada全体を見てみましょう。
現在のVerkada Commandには、Video Security、Access Control、Alarms、Intercom、Air Quality、Guestなど、複数の製品群が集約されています。
これは単に「Verkadaはいろいろな製品を販売している」という話ではありません。
重要なのは、それぞれが同じPlatformの上に存在していることです。
例えばCommandでは、ドアが開いた、Visitorがチェックインした、Air Qualityに変化があった、といった異なるイベントを扱い、それらに関連するVideo Contextを確認することができます。
Access → Access System
Alarm → Alarm System
Intercom → Intercom System
Access Control
Alarm / Intercom
↓
VERKADA COMMAND + AI
ここが一般的なIPカメラとVerkadaを比較するときの、大きな違いの一つです。
世界では、Verkadaはどう使われている?
では実際に、企業はVerkadaをどのように利用しているのでしょうか。
スペック表を見るより、実際の導入事例を見た方がVerkadaの方向性が分かりやすいかもしれません。
ここでは、特徴の異なる3つの事例を紹介します。
CASE 01|146店舗を展開するCycle Gear
Cycle Gearは、米国35州に146店舗を展開するバイク用品・アパレルの小売企業です。
長年にわたり店舗を拡大してきたことで、異なる種類の監視機器が混在し、管理が複雑になっていました。
Verkadaの公開事例では、16店舗に80台以上のカメラを展開し、それらを一つのManagement Platformから管理しています。
企業として一つのPhysical Security環境を作り、そこへ拠点を追加していく。
店舗数が5店舗、10店舗、50店舗と増えていく企業ほど、この違いは大きくなります。
CASE 02|「事件後に確認する」から一歩進んだWilson’s NAPA Auto Parts
Wilson’s NAPA Auto Partsは、米国オレゴン州で20拠点を展開する自動車部品小売企業です。
同社では200台以上のカメラを展開し、Video SecurityだけでなくAlarmsやAccess Controlなども利用しています。
Verkadaの公開事例によると、Alarms導入初年度には20件を超える侵入を防ぎ、5人の逮捕につながったとされています。
同社ではカメラによるPerson DetectionなどをAlarmのトリガーとして利用し、関連映像を確認して対応する仕組みを構築しています。
これはRECORD → DETECT → RESPONDというPhysical Securityの変化を実際の企業運用で示している事例です。
CASE 03|カメラを「店舗データ」として使うSook Retail
さらに違った使い方をしているのが英国のSook Retailです。
同社は柔軟に利用できる店舗スペースを提供しており、Verkadaの映像解析をセキュリティだけではなく、店舗空間を理解するためのデータとしても利用しています。
店舗の前を何人が通ったのか。そのうち何人が入店したのか。店内をどのように移動したのか。どこに長く滞在したのか。
Sook RetailはHeatmapなどを利用してこうした情報を分析し、店舗運営に活用しています。
↓
Business Data
Cloudはゴールではなく、AIを広げるための土台
ここまで見てくると、VerkadaにおけるCloudの役割も少し違って見えてきます。
Cloudそのものがゴールなのではありません。
企業全体のPhysical Securityを一つのPlatformとして扱うための土台です。
1店舗だけで利用するのではなく、それぞれの拠点にあるCamera、Access Control、Alarm、Intercomなどを、一つの組織・Platformとして管理する。
そこにAIによる検索、検知、分析、アラートなどが加わります。
その上でAIによってデータを活用する。
ネットワークの世界で起きた変化が、Physical Securityにも
この流れは、企業ネットワークの変化と少し似ています。
かつてFirewall、Switch、Wi-Fiなどのネットワーク機器は、それぞれの機器へアクセスして設定・管理することが一般的でした。
その後、Cisco Merakiなどのクラウド管理型ネットワークが登場し、Firewall、Switch、Wi-Fiをクラウド上のDashboardから管理する考え方が広がりました。
Physical Securityでも、よく似た変化が起きています。
Camera、Access Control、Alarm、Intercomを個別の「設備」として管理するのではなく、一つのPlatformとして管理する。
そしてPhysical Securityでは、そこにAIという新しいレイヤーが加わり始めています。
Physical SecurityもCloudへ。
そして、Cloudの上にAIへ。
Verkadaが示している、Physical Securityのこれから
Verkadaの特徴を一つずつ見れば、クラウド管理、複数拠点の一元管理、シンプルな管理画面、スケーラビリティなど、それぞれの考え方自体はすでに珍しいものではありません。
注目したいのは、その先にあるものです。
Camera、Access Control、Alarm、Intercomなどを一つのPlatformへ集約する。
そこから生まれる映像やイベントをつなげる。
そしてAIを使って、膨大なデータの中から必要な情報を探し、検知し、分析し、対応へつなげる。
Verkadaは2025年12月、AI機能の開発をさらに加速させる方針を示しています。同社はPhysical Securityの将来を、従来の分断されたシステムから、よりインテリジェントでSoftware-drivenなPlatformへ移行していくものと位置づけています。
つまり、Verkadaを理解するうえで重要なのは、「クラウド型のIPカメラ」という枠だけで見ることではありません。
CloudからAIへ。
防犯カメラを選ぶ基準も、これまでは画質、録画期間、価格といったハードウェアの比較が中心でした。
これからはそこに、
という視点も加わっていくでしょう。
世界171か国、30,000以上の組織へと導入を広げているVerkada。
その成長の背景には、単なるIPカメラの進化だけではなく、Physical SecurityそのものをCloudとAIで再設計するという大きな変化があります。
Verkadaについて相談したい方へ
OpenKanalでは、VerkadaをはじめとしたPhysical Securityの導入についてご相談を受け付けています。
まだ具体的な製品構成が決まっていない段階でも問題ありません。 ネットワークを含めた店舗・オフィスのITインフラという視点から、 必要な構成を一緒に整理します。
OpenKanalへ相談する →※本記事は2026年9月時点のVerkada公式情報および公開事例をもとに作成しています。 製品仕様、提供機能、AI機能の提供状況等は変更される場合があります。

